こんな方におすすめ
- 電験三種・二種の受験者 → %Zと短絡インピーダンスの基礎を学びたい
- 電気設備の技術者 → 設計や短絡計算に役立てたい
- 変圧器・電力系統を理解したい方 → カタログや試験結果を正しく読み解きたい
電気設備や変圧器の仕様を見ていると、「%Z」や「短絡インピーダンス(短絡時インピーダンス)」という用語を耳にすることがあります。これらは一見すると同じように「インピーダンス」を示しているようですが、実は表現の仕方が異なり、それぞれに用途も違います。
この記事では、これらの用語の違いや計算例、そして使いどころをわかりやすく解説していきます。

Contents
1. %Z(パーセントインピーダンス)とは?
1-1. 定義
「%Z(パーセントインピーダンス)」とは、変圧器などの機器に定格電流を流すために必要な電圧(短絡電圧)を、定格電圧に対するパーセントで表したものです。
- 例えば、ある変圧器の一次側定格電圧が 6.6 kV の場合、
「%Z = 5%」という仕様であれば、
一次側に「6.6 kV の 5%」=330 V を印加すると、短絡状態でも定格電流が流れる、という意味になります。
1-2. 計算方法
変圧器の短絡試験では、二次側を短絡し、一次側の電圧を徐々に上げていきます。そして、一次側が定格電流を流したときの電圧を「短絡電圧(
)」と呼びます。
このとき、パーセントインピーダンスは下式で求まります。
:一次側の定格電圧
:定格電流が流れた際の一次側印加電圧
1-3. 主な用途
- 短絡容量の計算
- 変圧器が接続される系統で故障が発生したときの、短絡電流の大きさを推定するときに利用します。
- 電圧降下の評価
- 負荷電流が増加したときにどの程度の電圧降下が発生するかを推定する指標として活用します。
- カタログ値の比較
- 異なる容量や電圧階級の変圧器同士でも、相対的に比較しやすい形式です。
2. 短絡インピーダンス(短絡時インピーダンス)とは?
2-1. 定義
「短絡インピーダンス」とは、物理量としてのインピーダンスをオーム(Ω)単位、あるいは複素インピーダンス(
)で表したものです。
変圧器の巻線には抵抗成分とリアクタンス成分が存在し、それらを合計したものが実質的な「短絡インピーダンス」となります。
2-2. 計算方法
短絡試験などで測定した短絡電流
と短絡電圧
を使って、以下のように求められます。
得られた
は、実際の回路解析で用いる場合は、抵抗成分
とリアクタンス成分
に分けて表すことも多いです。
2-3. 主な用途
- 詳細な回路解析
- 系統全体や保護設計などで、実際のインピーダンス値を使って正確な短絡電流や電力損失を計算する場面で重要になります。
- 発熱や損失の評価
- 抵抗成分が銅損(I²R損)に、リアクタンス成分が磁気エネルギーや無効電力の扱いに影響するため、冷却設計などにも役立ちます。
3. %Z と短絡インピーダンスの関係
どちらも同じ物理的なインピーダンスを指していますが、表現の仕方が違うだけです。
- %Z は「定格条件に対する比率」でインピーダンスを示す相対値。
- 短絡インピーダンスは、回路上のオーム値そのものを示す絶対値。
短絡試験で得られたインピーダンスを定格条件に対して規格化すると「%Z」になる、という流れになります。
4. 具体例
4-1. 変圧器 A の例
- 一次側定格電圧:6.6 kV
- 容量:1000 kVA
- %Z:5.0%
- 定格電流(一次側):
- 短絡電圧
は、6.6 kV の 5% → 330 V - 短絡時インピーダンス
は、
4-2. 変圧器 B の例
- 一次側定格電圧:11 kV
- 容量:2000 kVA
- %Z:6.5%
- 定格電流(一次側):
- 短絡電圧
は、11 kV の 6.5% → 715 V(約) - 短絡時インピーダンス
は、
このように、実際のオーム値
と %Z は相互に変換可能です。
5. 比較表
下表に、%Z と短絡インピーダンスの違いを簡単にまとめました。
| 分類 | %Z(パーセントインピーダンス) | 短絡インピーダンス |
|---|---|---|
| 単位 | %(相対値) | Ω(実数値/複素数値) |
| 主な定義 | 定格電流を流すための短絡電圧を定格電圧で割った値 | 実際のインピーダンス(R + jX) |
| 計算に必要な値 | 短絡電圧 ÷ 定格電圧 × 100% | 短絡電圧 ÷ 短絡電流 |
| 主な使われ方 | ・設備カタログでの比較 ・短絡容量・電圧降下評価 |
・詳細な回路解析 ・保護設計 ・熱設計 |
| メリット | ・容量や電圧階級が違う機器でも比較が容易 | ・回路解析で正確に計算できる ・損失評価が可能 |
| 代表的な用途例 | ・変圧器スペックの表記 ・設計時の簡易計算 |
・短絡電流の正確な計算 ・保護リレー設定など |
6. 使い分けのポイント
-
カタログや設備仕様をチェックするとき
- %Z を見れば、変圧器のインピーダンスの大きさ(短絡容量や電圧降下の指標)が素早く把握できます。
- 機種選定時に複数の変圧器を比較する際にも便利です。
-
詳細な系統解析や保護設計を行うとき
- 回路を正確にモデル化し、短絡電流や故障時の電圧をシミュレーションする場合は、短絡インピーダンス(オーム値)を用いて厳密に検討します。
- 損失や熱設計も考慮するなら、抵抗成分とリアクタンス成分に分割して評価することがあります。
まとめ
- **%Z(パーセントインピーダンス)**は、定格電圧に対する短絡電圧の比率を示しており、主にカタログ値や簡易的な電圧降下・短絡容量の評価でよく使われます。
- 短絡インピーダンスは、実際のオーム値や複素インピーダンスを示すもので、系統解析や保護設計などで正確な計算が必要な場合に用いられます。
両者は本質的には同じインピーダンスを表しているため、相互に換算が可能です。ただし、相対値で見るか絶対値で見るかで使いどころが異なる点には注意しましょう。




