
就職や転職を有利にするために、電験三種の取得を目指している人は多いと思います。
しかし、資格を取得できたとしても、**実務経験がない場合、本当に就職や転職に有利なのか?**と不安に感じる方も多いでしょう。
実は、私もその一人でした。
私自身、転職活動を始めた際、胸を張って言えるスキルがまったくありませんでした。
そのため、「電験三種を持っていても実務経験がないからダメかも…」と悩む以前に、とにかく資格を取得しないことには何も始まらないという思いで勉強を続け、3年かけて合格しました。
そこから試行錯誤しながら、なんとか転職に成功しました。
本記事では、未経験でも電験三種を活かして転職できた方法について、私自身の経験を踏まえてご紹介します。
Contents
1.実務経験無しで電気主任技術者としての採用は難しい

まず、転職サイトで「電験三種」と検索すると、電気主任技術者や現場での保安管理業務の求人が大半を占めていると思います。
しかし、未経験の状態で、これらの求人に応募しても、ほぼ書類選考すら通りません。
私の実体験:書類選考通過率0%
これは私自身の実体験ですが、
**30社ほど応募した結果、書類選考の通過率は0%**でした。
もちろん、ダメ元で応募したものもありますが、未経験の状態では、電気主任技術者としての採用は厳しいという現実を痛感しました。さらに言えば、何かしらの電気関係の業務経験がないと、より難しくなるのも事実です。
未経験では自己PRが難しい
なぜ未経験だと厳しいのか?
それは、面接時の自己PRが困難になるからです。以下のようなケースを比較してみましょう。
| 応募者のタイプ | 電験三種の有無 | 実務経験の有無 | 採用されやすいか? |
|---|---|---|---|
| Aさん | 取得済み | なし | ✕(厳しい) |
| Bさん | 未取得 | あり | 〇(可能性あり) |
このように、極端な例を挙げると、電験三種を持っていても実務経験がない人より、電験三種を持っていなくても実務経験がある人のほうが採用されやすい傾向にあります。
つまり、電験三種を持っていること自体に、決定的な採用メリットがあるわけではないのです。
「電験三種さえ持っていれば採用される」は誤解
電験三種の難易度が高いことは事実ですが、業界内では資格保持者は珍しくありません。実際、私の周りにも「資格は持っているけど、実務経験がない」という人は意外と多いです。
さらに言うと、本当に持っているだけで価値があるのは「電験二種」からです。
- 電験三種 → そこまで引く手あまたではない(実務経験が重視される)
- 電験二種以上 → 特別高圧が扱えるため、メガソーラーやデータセンターでの求人が豊富
この違いからも、未経験者がいきなり電気主任技術者に転職するのは非常に難しいと考えたほうがよいでしょう。
2.電験三種未経験者が取るべき戦略

「電験三種を持っているから」といって、採用の候補が必ず電気主任技術者だけというわけではありません。実は、電験三種を持っている人材を歓迎している企業・求人が存在します。
これはどういうことかというと、企業側が「電験三種レベルの知識を持っている人を優先的に雇いたい」と考えているケースです。求人票に**【電験三種取得者歓迎】**などと明記されていることもよくあります。
ざっくり挙げると、以下のような職種・業種で電験三種取得者が歓迎されやすい傾向があります。
| 職種 | 具体的な業務内容 |
| システム設計 | 電気設備の設計・図面作成・仕様検討 |
| 技術営業 | 電気関連製品の営業、技術提案 |
| 再生可能エネルギー事業 | 発電所の計画・設計・運営 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
システム設計

電気設備に携わる仕事として、大まかに
- 設計する立場 → 電気メーカー、メーカーの子会社、設計事務所
- 施工する立場 → ゼネコン、サブコン、電気工事会社
- 保守する立場 → メンテナンス系会社、保安協会
の3種類に分類できます。
この中で、未経験からの採用において比較的敷居が低いのがシステム設計ではないかと思います(実際、私自身が電験三種を取得してすぐにシステム設計の仕事に就いた経験から感じたことです)。
システム設計が比較的入りやすい理由
- 机上での検討が主体
設計段階では、現場のように即座に対応を迫られるケースが少なく、検討時間に猶予があります。 - 社内で相談しやすい環境
設計業務はオフィス内で進めることが多く、周りに相談できる先輩や同僚がいるため、未経験者でも知識を吸収しながら仕事を進められます。 - ミスしてもリカバリーしやすい
施工や保守の現場でのミスは重大な事故や停電などにつながりかねませんが、設計段階のミスは図面修正などで対処しやすい面があります。
一方、施工や保守の現場仕事は、実物を扱うためにどうしてもリスクが伴います。未経験だと操作ミスで停電や感電事故を起こしてしまう恐れもあり、なかなかハードルが高いのが実情です。
そうした点を踏まえると、大手電気メーカーやその子会社、または設計事務所などでシステム設計に携わる道が、未経験であっても比較的入りやすい選択肢になるのではないかと思います。
技術営業

この職種は、営業の経験がある方に特におすすめです。
営業職は比較的求人が多く、「代わりが利きやすい職種」だとされることが多いのですが、そこに電験三種をはじめとした電気系の知識を加えると、一気に提案力が増すという強みがあります。
私も技術営業を経験したことがありますが、実務としてはあくまでも「営業活動」がメインです。図面を引いたり詳細な設計作業をするわけではありません。しかし、電気の知識があることで技術面の提案力が飛躍的に向上するのは事実です。
実際に、私の勤務先でも「技術知識を持っている営業」と「まったく技術を知らない営業」では、顧客提案のレベルに大きな差があると感じます。つまり、電験三種は営業活動の補助スキルとして非常に有効だと言えます。
技術営業への転向について
もし、営業の経験がある場合は「技術営業」へのキャリアチェンジを検討してみる価値があります。詳しくは以下の記事で解説していますので、よろしければご参照ください。
再生可能エネルギー事業

ここ数年、再生可能エネルギー(再エネ)事業は目覚ましく伸びてきた業界です。
ただし、固定買取制度の終了により、今後はやや落ち着いてくるという見方もあります。
再エネ事業を展開する企業の求人例
- 発電事業者(不動産会社、商社、パネルメーカーなど):計画や企画業務を担当
- 発電所建設会社:設計・施工を担当(上記の発電事業者から発注を受ける)
- 発電所の主任技術者:主に保安監督・維持管理を担当
この中で、「主任技術者以外」の職種(設計や申請業務をメインとするポジション)であれば、未経験からでも挑戦できる可能性はあります。
特に、ベンチャー企業が多い印象ですが、その分伸びている会社はぐんぐん伸びる一方で、倒産してしまう企業も少なくありません。
求人選びの際は、企業の実態や評判をしっかりリサーチする必要があります。
体験談:再エネ関連の面接
私自身、再エネ関連の企業で面接を受けたことがあります。そこでは
「すぐに入社できるか?」
と打診されましたが、当時の募集要項はバイオマス発電所の現場保守という内容で、勤務地も山奥など通勤が困難な場所。収入アップも見込めなかったため、お断りしたことがあります。「面接のその場で即入社を迫られる企業は要注意」といった声もありますので、慎重に判断することをおすすめします。
一方で、太陽光発電所の主任技術者としての採用はあまりおすすめしません。
太陽光発電所は人里離れた山間部などに設置されていることが多く、複数箇所を掛け持ちして保守する必要があり、除草や雪かき作業なども含めてかなり大変だからです。
資格取得者を積極的に採用する企業もある

さらに“番外編”として、企業が「有資格者」を優先的に採用するケースを紹介します。
大手企業や大手グループ会社などでは、社内の人材育成や法令順守などの観点から、一定数の資格保有者を確保したいというニーズが高いです。
会社によってはHP上で
資格取得者数
・電気主任技術者(一種~三種) **名
・電気工事士(一級、二級) **名
というように、有資格者数をアピールしていることもあります。
こうした企業では、「未経験であっても資格を持っている人材が欲しい」というケースが珍しくありません。
管理職にとっては、有資格者を抱えることで組織としての評価が上がる可能性もあるため、人事評価にもプラスになるからです。
特に大手や大手グループ会社などは、組織内の人材育成に注力しており、資格取得者を積極的に採用しているケースもあります。
恐らくですが私もそれで採用されたんじゃないかと思っています。
私の実経験
資格が決め手になった話
私自身、電験三種しか持っていない状態で、応募職種に関する実務経験もありませんでした。使えるのはCADが多少分かる程度。そして、図面の単線結線図を読めるくらいの知識でした。
最終面接では「こんなことができます」「こんなことをやってみたい」など、自己PRを淡々と行っただけでしたが、実は最終選考に残った3人のうち、電験三種を持っていたのは私(35歳)だけでした。残りの2人は20代で実務経験ありだったようですが、企業側は
「経験は乏しいが、資格を持っている人材を育成したい」
との理由で私を採用してくれたのです(この情報はエージェント経由で聞きました)。
転職後は、「二種や技術士を取得するように」といった更なる資格取得の目標を毎年設定され、相変わらず勉強の日々ですが(笑)、このように**「資格を持っている」こと自体が採用の大きな後押し**になる場合もあります。
簡単にまとめますと、
- 電験三種を持っていると、主任技術者以外の求人でも歓迎される可能性が高い
システム設計、技術営業、再生可能エネルギー事業などで特に需要あり
- 大手企業やベンチャー企業は「資格保有者」を重視するケースが多い
資格を持っていることが、採用時の決め手になることもある
- ただし、企業によっては現場保守や未整備の職場環境など、リスクが高いケースもあるため要注意
再エネ関連企業をはじめ、設置場所や仕事内容など十分に確認してから決める
未経験だからといって諦める必要はまったくありません。
電験三種を持っていると、企業にとっては“育成前提で採用したい人材”になり得ます。求人情報をチェックする際は【電験三種取得者歓迎】などのキーワードにも注目し、幅広く可能性を探ってみてください。
3.【30代】自己PRには電験三種に紐づける経歴が必要

「電験三種を持っている」というだけでは、自己PRとしてはやや弱い面があります。
もちろん、資格を保有していない人と比べればアピールにはなりますが、それだけで十分かというとそうではありません。
例えば、冒頭でお話ししたように「電気主任技術者としての転職」が難しいと仮定し、それ以外の職種へ転職するケースを考えましょう。
①【30代】電験三種取得・実務経験なし
②【30代】電験三種なし・実務経験あり
同じ30代という世代で、書類選考を受けた場合、どちらが有利でしょうか。
多くの場合、実務経験を重視する企業が多いので「①<②」と判断されてしまう傾向があります(ペーパードライバーならぬ“ペーパー資格”よりも、実務経験を優先するというイメージです)。
次に、以下のケースで考えてみます。
①【30代】電験三種取得・実務経験なし
②【20代】電験三種なし・実務経験あり
この場合、年齢・実務経験・資格など考慮すべき要素が増えるため、一概にはどちらが有利とは言えません。採用担当者が知りたいのは、以下のような点です。
①(30代):これまでどんな経歴を積んできたのか、マネジメント経験はあるのか、など
②(20代):若くして実務経験があるが、即戦力としてどこまで活躍できるか、すぐに離職しないか、など
こういった比較になったときに、自分が「②(20代・実務経験あり)」の候補者に勝てるポイントをどうPRするかが重要です。そこで鍵となるのが、電験三種取得と自身の経歴をどのようにつなげてアピールするかという部分になります。
もし何らかの形で電気関連の仕事に携わってこられた方であれば、たとえ直接的に電気設備の保安業務をしていなくても、
「業務を行う中で必要性を感じ、主体的に電験三種を取得するまで学習した」
「資格を取得する過程でチャレンジ精神・向上心を発揮し、関連知識を体系的に身につけた」
といったエピソードは、採用担当者の目に留まりやすいポイントになります。
実際、私自身も30代を超えて転職しましたが、**「経歴の中で培ったものにプラスして取得した資格」**であることを強調することで、PRに成功した経験があります。
20代であれば、将来的に経験値を伸ばせる可能性が高いということで、どうしても有利に見られがちです。したがって、
自分が若い世代とどう違うのかをしっかり差別化し、PRしていく必要があります。
補足:
“差別化”といっても、相手を否定するのではなく、自分の経歴や強み(マネジメント力、責任感の強さ、長年にわたり培ったコミュニケーション能力など)を具体的に示すことがポイントです。
詳しくは以下の記事で解説していますので、よろしければ参考にしてください。
4.まとめ

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未経験者が電験三種を取得しても、いきなり電気主任技術者や保安業務に就職するのは難しい
→ 電験三種は実務経験があってこそ強力な資格になります。 -
とはいえ未経験だからまったく活かされないわけではありません。
→ 電験三種は専門性が高く、取得しているだけで一定の知識を有している証明になるためです。 -
電気主任技術者に限らず、電験三種で得られる幅広い電気の知識を求める企業は多い
→ そうした企業をリサーチし、積極的に応募することで採用チャンスは大いにあります。 -
就職後も、引き続き知識や経験を積むことで定年後の再雇用や別の就職先での優遇など、働ける可能性が広がります。
最後に、私が電験三種を取得した際の勉強法を紹介している記事がありますので、興味があれば参考になさってください。






